丸亀島・絹島の龍神
丸亀島と絹島に棲むといわれる龍神伝説は意外に知られていません。
丸亀島・絹島は香川県東かがわ市の北端、馬篠の海岸より約600mに浮かぶ、玄武岩質の岩石におおわれた無人島であります。
この島は、昭和のはじめ、(昭和15年)に国の天然記念物に指定され、黒色で見事な、緻密な玄武岩の柱状節理といわれ、昔、火山岩が溶けたものが、冷えてひびが入ったものであると思われます。
この丸亀島の頂上にひっそりと龍神が祭られています。地元の漁業組合の人たちが海の神様として祭ってくれているそうです。
丸亀島の南側の海岸におりると、頂上に向かう細い参道があって、その道の入口に『竜王神社』とやっと見えるほどの文字の石碑があります。その急な坂道を登れば竜王が祭られています。ここから見る景色はなんともいえない美観で、是非ご覧頂きたいと思うのです。
伝説によるとこの竜王、讃岐の国にとってとても大切な龍神さまのようです。讃岐の国は今も昔も異常に雨が少なく、雨乞いなくしては農業は成り立たなかったようです。
雨乞いというと、かつて弘法大師が京都の神泉苑での雨乞いは有名ですが、この時現れた龍神さんは、善女竜王(ぜんにょりゅうおう)でした。
しかし、この讃岐の国においては、弘法大師は丸亀島の竜王にお願いしていたらしいです。水主の社で丸亀島の竜王を呼んでいたのです。
この竜王、今もこの島に住んでいて、洞窟を出たり入ったりしているようです。
絹島には10個の洞窟(海食洞)があり、水面で2.5メートル、島の頂上27メートルの柱のように侵食されているものや、入口が5.5メートル、奥行き7メートル、天井がアーチ状の洞窟もあり、この洞窟の壮絶さには息をのみます。この壮絶な洞窟は船で行かないと見えませんが、一度行ってみる事をおすすめします。ひょっとすると竜王に会えるかもしれません。
讃岐の国の水不足を解消するためにもこの竜王様を大切にしたいものです。